移動式循環システム

〜人と農と自然を一体のものとして考える〜

身土不二

人と環境は一体、つながりあっている。生命は循環する「流れ」の中にある。
環境の破壊は、人間においては病気や障害として現れる。 障害を根本から治すためには、環境を改善してゆくしかない。だから、その一番の当事者である障害者が立ち上がり、農業を通して環境問題に取り組んでゆくことには大きな意味がある。
 

人の体に(心に)障害があるということは、大きく見れば、農業にも障害があるということだし、自然環境にも障害があるということになる。みんなつながっているし、一体のものである。

生命とは循環する「流れ」の中にある。

自然環境が守られ、自然と調和する農業があって、はじめて人間の生命や健康が守られる。土を大切にすれば、人は健康になるし、土を虐待すると人は病気になったり障害をおったりするようになる。
「身土不二」ということである。

人の体と、体を作っている食べ物(栄養素)、食べ物を作る農業、農産物を作り出す自然環境(生態系)、これらはみなつながっている。一体のものである。生命とは一瞬たりとも留まることなく、循環し流れて行くものである。だから、私たちは人の健康や障害について考えるときには、これら全てのことを考え合わせなくてはならない。

人と農と自然を一体のものとして考える。

汝とは「汝の食べた物」である。You are what you ate.

人の体は栄養素によってできている。
ライナス・ポーリング博士の言葉
「ほとんどの病気は、突き詰めてみれば原因は栄養不足にある。」

理想的な薬とは、その人に必要な「栄養」のことである。
栄養が行き届いていれば、体それ自体が本来の力を発揮して、病気は回復へと向かう。

障害に気が付いた2〜3歳の頃、「しばらく様子をみましょう・・・」と言って放置された。そのことが一番の悔恨となっている。もし即座に栄養療法をもって対応をしていたなら、結果は大きく変わっていただろう。通常、人は6歳くらいまでが、一番脳が発達する時期なのである。(栄養療法の効果が上がりやすい)
栄養は基本的に子供の成長に必要なものなのだから、発達に異常があると感じた時点で取り組むべき課題だったのだ。

さて、その栄養はどこからやってくるのだろう?

人にとっての根っ子

植物は根から養分を吸収し、人間は腸から栄養素を取り込んでゆく。
腸の中は、土の中といっしょ。(よく似ている)
微生物がいて栄養素がある。共生しながら、根っ子から栄養分を吸い上げる。腸の中では、絨毛が根っ子の代わり、栄養分を吸収する。自己を守るための、免疫機能があることも同じ。

人に根っ子はあるのか?
人間にとって根っ子は、腸の中のひだひだである。そこから栄養素を吸い取っている。微生物や土と共生している場も腸の中にある。人は体の中にパイプ(腸管)を通して、土(養分・食べ物)を循環させ、生態系とつながっている。

人間にとって「土づくり」とは腸内環境を整えることである。

移動式循環システム

植物は大地に根を張って土と自然界とつながり、微生物とやりとりし、循環し共生している。直接、大地とつながっているので安定しているが、移動できない。(歩けない)
植物は動けない、運命に身をゆだねる、だから我慢強いのである。

動物は進化の過程で腸というもの(パイプ)をつくり、土を循環させながら持ち運び(Take Outできる)、移動できるようにした。食べるという行為、排泄するという行為は、土を体の中のパイプに通していく、「移動式の循環システム」を身につけたということである。

福岡ハカセは、人間の形は穴の開いたチクワに似ていると言う。「人間は考える管(くだ)である」とおっしゃった。基本構造はミミズといっしょである。私たちの遠い遠い先祖は、現在のミミズやナメクジのような存在だった。彼らの姿こそが私たちの原形なのである。

人は食べることによって、土(養分)を体の中に取り込み、腸の中で微生物との関係を保ち、腸の中で土づくりを行いながら排泄する。(土に戻す)これこそが自然の循環なのだ。

動物の基本形(一番基本的な姿)はミミズから学べばいい。
土を取り込んで動く管(くだ)である。直接、土に根を張るのではなく、管の中に取り込んで運び、管の中で根を張り共存する。そうやって、土とつながりながらも移動が可能になった。「自由」を得ることによって、繁殖活動において優位に立つようになった。驚くべき戦略(進化)と言っていい。

移動できるようになって「自由」になった。しかし、土との関係が切れたわけではない。腸の中にあるものは大地の一部なのである。人は腸管を通じて大地とつながっている。

恋するパイプ

植物は歩かない、動かない。これは恋愛戦略としては不利。

だから、動物は土を持ち運べるようにした。
土をパイプ(腸)に通して持ち運ぶ「移動式の循環システム」、土のTake Outシステム。これによって自由を得、繁殖(恋愛活動)において優位になった。

動物は腸管を内蔵することにより、植えられた物(植物)から、動くことのできる物(動物)になった。
植物と動物の違いは、Take Outできるパイプをもっていて、移動できるということ。根に代わってパイプの中で養分を吸収できる。動くことによって生殖活動を優位に進めることができる。

人は「移動式のパイプ」によって自由になった。
土に植えられた物から、土をTake Outすることのできるパイプによって、動くことのできる物となった。私たちにとって根っ子は、パイプ(腸管)の中にある「絨毛」である。
Take Outした土(食べ物)から栄養分を吸収して、土に還す。(排泄する)

人は「考えるパイプ」「恋するパイプ」
移動式循環システム(パイプ=腸)を身につけることにより、「自由」を得た。花粉を飛ばさずとも、自由に歩いて行って接近し、好きな人と恋愛できるようになった。そして、好きな場所で家庭が持てる。

植物は花を咲かせ、香りを放ち、花粉を飛ばして繁殖する。
しかし、人や動物は動くことができるので、女性は美しくなり異性を引き付け、歩いて行ってデートし、自由に恋愛して結ばれることができる。
DNAが結びつき、新しい生命が創造される。

人間の思想の根本に、「自由」と「民主主義」を求める心があるということは、元をたどれば、土を持ち運んででも移動しようとした、ミミズのDNAの中から、ずっと遺伝してきたものなのかもしれない。(恐るべき仮説・隠れた神様の意図なのかも・・・)

人がミミズだった頃からDNAに刻まれてきたミミズの気持ち、土を持ち運んででも移動したい、「彼女に会いたい」という想い(恋愛感情)が、自由と民主主義を生んだ。ミミズは動物(うごくもの)になった。
運命に身をゆだねるしかない受け身の立場(植物)から、上の言いなりになるのではなく、主体的に自らの意志で運命を切り開く、動くものとなった、ミミズは「自由」を勝ち取ったのだ!(考えすぎか・・・笑)

想いが進化を呼ぶ。(思いがなければ何も始まらない)

土づくりと腸内環境

野菜栽培で大切なことは「土づくり」だとよく言われる。
人間にとっては、健康を保つためには、まず健全な土、(じゃなくて)食物連鎖によってそれが変身した食べ物を管(腸)に入れて、そこから腸にあるひだひだの根っ子(絨毛)によって養分を吸収する。
食べ物は土が形を変えたもの。(土の中の養分といってもいい)

根の周りにはたくさんの微生物が集まり、生命活動が盛んで、養分も豊富だ。同じように、腸内にも数十兆の微生物がいて、命のやり取りをしている。

微生物とともに腸内環境を整えることが大切。
腸内環境を整え、免疫が機能し、必要な栄養素が取り入れられる。それが人間の成長・発達にとって絶対に必要なことなのである。

発達障害とは、根本的なこの循環システムに問題が生じ、脳(神経細胞)に影響をもたらしたということなのかもしれません。結果として、脳の神経回路網に異変が生じたのである。シナプスが正しくつながり、機能しなくなった。「シナプス症」と呼ばれるものである。

自然と一体になろう!

生き物は生態系の土台(生命の源)である「土」とつながっていなくてはならない。
植物は、直接根を下ろして、土から養分をもらう。
人間は体の中で食べ物を消化し、土づくりを行い、土から栄養をいただいている。

植物にとって土壌環境が大切で、「土づくり」をするように、人においては腸内環境を整え、脳に栄養を届けなくてはいけない。人は歩くようになったとしても、土づくりを怠けてはいけない。生命は大地とつながっていてなんぼのものなのである。しっかりと食べ、排泄し、微生物と仲良く暮らし、大地の恵みをいただかなくてはいけない。

人間(動物)は土から離れ、動くものとなったが、土との関係が切れたわけではない。

腸にトラブルがあるということは、植物が「根腐れ」しているのと似ている。根が腐っていると、養分の吸収ができない。免疫が機能せず、病原菌が侵入してくる。植物は弱り、しまいには枯れてゆく。
腸内環境が整い、腸の絨毛が元気でないと(腸の炎症や腸漏れ、アレルギーなどが起こる)、栄養素を吸収できないので、発達に問題が生じ、ひどい場合は障害が起こりえる。

植物の根の周りは、微生物が多く、生命活動が一番盛んな場所である。
ミミズや人の管の中も微生物が多く、栄養素のやり取りや免疫機能が働いている。

消化器官とは、人にとっての「土づくり」の現場である。腸は微生物との共同作業の場、土と繋がる場所。
腸の中は、外敵との戦いの最前線。友好と同時に、戦い(防衛)の場でもある。免疫細胞の60%が腸に集中している。アトピーやアレルギーは腸内の免疫機能が深くかかわっている。

もっと、土と環境のことを勉強しよう!
農と福祉と自然(環境)は連携しなければ、障害の問題は解決しない。
自然栽培で育った野菜の根っ子は元気で逞しい、人の体もそのようにならなくてはなりません。食生活の偏った人は、精神においても不安定で、偏りがある。

そして、腸の次はDNAとセントラルドグマ(遺伝子発現)の話になるだろう。

人はもっと外に出て、土に触れ、自然に触れて、自然のものを取り込み、腸内環境を整え、自然と共生し、自然(生態系)の循環の中に溶け込んでゆかなくてはいけない。それが、自然に生きること、人間らしい、あるべき姿(普通の姿)なのではないかと思う。

体の中に自然を感じ、自然の一部である自分を実感し、循環する「流れ」の中に生命の躍動を感じながら、自然と一体となろう!
自然の美しさや豊かさは、自分の中にもある美しさであり豊かさなのである。そしてそれは、自然が続く限り「永遠」のものなのである。

青空や海や大地は、あなたの心の中にもあるものなのだから・・・

2020.1.12 俊邦父