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はじめに

『天真爛漫』とは、2000年ミレニアムの年、俊君がまだ3歳になったばかりの頃、自閉症だと診断され、広く情報収集をするために立ち上げたサイトです。
俊君が、あまりにも自由奔放だったので「天真爛漫」と言う名前にしました。

テーマは、自然が好きだったので、「俊君と自然の仲間たちのホームページ」ということになっています。主に自閉症である俊君の療育の様子や、自閉症の情報、ハイキングなど自然の中で楽しく遊ぶことを書いてきました。

当時、アップルのカラフルなおにぎり型のパソコンiMacが出る前で、古いマックにPage Mill というホームページを作るおまけソフトがついていて、マニュアルを見ながら一生懸命作り、ドキドキしながらアップロードしていました。(当時、一般にはブログもなく、ホームページも少なかった)

掲示板などがあったりして、けっこうたくさんのお父さん・お母さん方からメールをいただいたり、書き込みをして頂きました。(涙のあふれるようなメールもありました)

俊君は二十歳を過ぎ、ホームページも立ち上げから20年を越えました。
はじめは関連書籍も少なく、海外からネット情報を集めたり、暗中模索でしたが、自閉症に関する新しい情報も増えてきました。単に療育だけでなく、栄養療法や自然とのつながり、農業や地球環境の課題もクローズアップされてきています。
俊君のホームページはtoshifarm.net(俊ファーム・ドット・ネット)として、これらのことを幅広く紹介し、物事の本質(核心)を追求してゆきたいと考えています。

オリジナルの『天真爛漫』には愛着があり、記念碑的なものとして残しますが、急ぐ方は関心のあるトピックへとジャンプして頂ければと思います。「天真爛漫」には、俊君の子どもの頃の懐かしい写真や、福祉や森林、農園に関わりだしたころの古い記事が残されています。

自然共生農園に関心のある方は、「しあわせ農園」のページへお進みください。
無農薬・無化学肥料で育てる野菜作り、有機栽培や自然農法のことが書かれています。人も野菜も自然の一部なので、自然生態系の循環の中で育ててゆきたい。自然によりそう野菜作りを進めています。中でも、土と微生物は特に重要で、土の中の生き物が多様で生き生きとしていれば野菜も元気になります。

昔、自閉症の子ども(知的障がい児)の療育と言えば、心理を中心とした寄り添う療育。関係性を重視し、本人主体で本人に合わせることで心の成長を促すようなやり方でしたが、なかなかそれだけではうまくいきません。(もちろん良好な関係性を築くことは大切なことですが)

次に、自閉症という脳の障害を認め、その障害特性を理解した上で、環境の側から合わせてゆくという手法が取り入れられるようになってきました。視覚支援やスケジュール(見通しが立てやすいように)、わかりやすく環境を物理的に構造化したり、過敏な感覚に配慮したり、働きやすくするための手順を表示したりする。また、自閉症(発達障害)の人の特徴を一般の人に理解して頂いて、社会に出やすくする。ノーマライゼイションが進められてきました。

ただ、心理的な取り組みや、環境の方から合わせてゆくだけでは、根本的な自閉症の解決にはなりません。(自閉症の人は、年々増えていっているのです)

私のような“こだわり”のきつい、頑固な人は、なぜ我が子が自閉症になったのか? 原因は何なのか、遺伝だけが原因で、ただ運が悪かったと言うのか。治療する方法は本当に何もないのか・・・ということが頭から離れません。

もう一つの主要テーマは、「サークルキュア」(自閉症の生態系治療)です。
脳をはじめとする人の体は、栄養によってできているので、栄養療法に取り組んでゆきます。DNAが求める本当に必要な栄養素。生物学に基づいた「分子栄養学」や「オーソモレキュラー療法」を学び、効率的でバランスのいい栄養の摂取を検討してゆきます。

「食」は大切なものです。食材は土からやって来ます。「農業」とつながっているのです。健康な土からは健康な栄養価の高い野菜や穀物がとれます。健康な土とは多様な微生物がいて、有機物とミネラルが豊富なフカフカとした生きた土です。菌根菌の助けによって根から栄養が吸収されてゆきます。
土中環境はそこで育った野菜を食する人間の腸内環境へとそのまま移行してゆきます。腸内細菌は元はと言えば土壌菌です。腸内フローラ(腸内細菌叢)が豊かであれば、栄養の吸収や免疫力が向上し、発達にも影響が及びます。
腸と脳は関係が深く(腸は第一の脳、脳の親である)、「腸脳相関」と言われるように、腸管神経系や迷走神経は、脳の1000億個のニューロンと繋がり、ネットワークを築いています。

自閉症の原因が、農薬や化学物質による生態系へのダメージや、抗生物質などによる腸内細菌叢の死滅によるディスバイオシスにある。そういった説もあります。
人は自然の一部であり、たくさんの生命の集合体でもあるのです。自然が破壊されれば人の健康はありません。

最後の項目は、自然と仲良く過ごすこと。(遊ぶことです)

2003年、俊君が5〜6歳の頃、なかなか療育になじまず。集団に溶けこむこともなく、孤立してパニックになっては奇声をあげたり、泣いてばかりいた頃。行くところが無くなってしまい、短時間ではありますが山へハイキングに行くようにしました。お父さんが自然好きだったからかもしれません。「俊くんと山へ行こう!」というページを作りました。

山の中に入れば、全てが自由です。休みたいときに休み、歩きたいときに歩く。声を出しても構わない。土をいじろうが、葉っぱをむしろうが、木の皮をめくって齧ろうが(本当にやっていました。口の中は真っ黒)歩いて、汗をかき、おいしい空気を吸って、晴れ晴れとした気持ちで帰ってきました。
海にも行きました。初めは浜辺で固まってずうーっと立ちん棒でしたが、やがて海に入り波と戯れるようになりました。毎週、山とか川とか海に行っていました。(「森のようちえん」みたいですね)
新鮮な空気を吸い、土を食べ、海水を飲んでいました。どんどん自然を取り込んでいるという感じです。

不思議なことは、俊君はずっと集団に馴染めなかったし、過敏で、じっと座っていることなどできないので、就学は困難だろうと思っていました。でも、1年ほど山で遊びまわった後、意外にもすんなりと支援学校に入り、授業も(内容は全然わからなくても)ちゃんと座って受けていますし、どんな学校行事にも参加できました。欠席することはほとんどなく(毎年、皆勤賞)、病気になることもありませんでした。
その時は、分かりませんでしたが、振り返ってみれば、下手な療育を受けるより、山に行き、自然の中で伸び伸びと過ごしたことの方がずっと良かったなあ、と言うのが実感です。できれば、もう少し早く栄養療法を学び、「腸活」なんかもしておけばよかったなあとも思います。

その後、二十歳が近づいたころ、自然農法で畑をやり始め、栄養療法や腸内環境を整えるようになってから、偏食もなくなりましたし、野菜をモリモリ食べるようになり、発酵食品や食物繊維もたくさん摂っています。ニコニコと穏やかに暮らしていますし、経過はいい方です。

土と微生物と腸内細菌は大切です。そして自然の中で伸び伸びと遊ぶこと。自然のものを食べて、自然とともに生きる。
だから私たちは、「しあわせ農園」でこれからも、土と共に暮らします。

PS:このページを読んで、自然っていいなぁ、私も畑やってみたいな、うちの施設でも取り入れたいなと思われる方、ぜひメールをください! 「畑友だち」になって、情報を共有し、いっしょに畑で遊び、健康になりましょう!

2022.8.5


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