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「生態系栽培」

〜自然の中の福祉農園〜

「生態系」=Ecosystem
生物群集やそれらをとりまく環境を、ある程度閉じた系とみなすとき、それを生態系と呼ぶ。(Wikipedia)

「森林生態系」
二酸化炭素を固定し有機物を生産する樹木を中心とした植物(生産者)、それを消費する動物(消費者)、有機物を分解する微生物(分解者)この三者がうまく機能して役割をはたし、エネルギーと物質が循環し、多様な生命が共存することにより、森林生態系が永続する。

<生態系におけるエネルギーと物質の循環>

生態系・・・つながり合って存在している。「共生」、支え合いのシステム。

自然界には食物連鎖や競争、寄生、敵対などいろいろな関係がみられるが、より大きな視点から見れば、絶妙なバランスを保ちながら「共生」しているということ。
「生態系」とは生き物と生き物のつながりであり、物質とエネルギーの循環であり、助け合い支え合うシステムのことである。

中でも、分解者である微生物の役割は重要であり、土壌環境は守らなくてはいけない。(今まで見過ごされることが多かった)不耕起栽培の大切な意味は、土壌環境を守ることにあり、そこから新しい生命が出発する(生命活動の土台)

生態系は川や池、小さな畑の中にも存在する。その典型的な形が「森林生態系」であり、そこから私たちは多くのことを学ぶことができる。
そして拡大すれば、地球全体も一つの大きな生態系とみることもできる。

人間にとっては、人と人とのつながり、いろんな生き物との繋がり、自然環境との繋がり、つまりは「地球」という生態系の中でのつながりが大切なのである。

  

  生態系栽培

生態系を守り、その働きによって栽培する。・・・自然農、自然栽培に共通する考え方

農業=「自然生態業」

木や野菜だけを見るのではなく、森林や畑全体の生態系を見ながら育成する。
生態系の生命活動が活発で、物質とエネルギーの循環がうまくいっていれば、自然の力によって野菜は育っていく。

単一の植物よりも、多種多様の方がいい。(多品種栽培の方が良い)
生物の多様性が維持されていれば、生態系のバランスは保たれ、病害虫の被害も少なくなる。

草を生やして土壌がむき出しにならないようにする。(土壌環境を守る)
耕さなくても自然の力で野菜は育つ。(不耕起栽培)
野菜もいのちの繋がり「生態系」の中で生きている。

生態系にダメージを与えるような、耕耘や農薬・化学肥料、過分な堆肥は不要である。一時的には効果があっても、やがては土が疲弊し生態系のバランスが崩れる、人間にも悪い影響がおよぶ。

★  生命の尊重、ありのままの姿(自然)を受容する
★  自然界にいらないものは一つもない。全ての存在に意味があり、必ず役割がある。
★  生命のつながりを大切にする
★  愛情をもって育てる(植物は人の声を聴き、心を受け止めている)
★  生命活動を活発にし、物質とエネルギーの循環によって生育する
★  共生、支え合い、共同作業
★  自然環境を守る(地球環境の持続)
★  野菜本来の自然の力を発揮させる(エンパワーメント)

これらのことは、人間社会にも共通すること、福祉や人権の考え方のベースにもなりえる。
福祉を目的として農業に取り組むのなら、「自然農・自然栽培」がふさわしい。
自然とともに仲良く、つながり合って生きるのが人間らしい生き方である。

【自然農・自然栽培】

不耕起(草生栽培)・・・緑があふれ、草の根と微生物によって耕される。
無農薬・・・虫を敵とせず、生物が多様でバランスがとれているため病害虫が発生しにくい。
無肥料・・・肥料で育てるのではなく、生きた土(土壌の養分循環)によって育てる。
生態系・・・畑全体が生命にあふれて共生し、つながりあい、自然の力で育っていく。
自家採種・・・なるべくF1種を使わず、安全な固定種を自家採種し、
        地域特有の野菜を育てる。安全な「いのちの種」を残してゆく。

  

  現代農業の問題点

1. 生産性のみを重視してきた。経済第一主義(金もうけのための農業)

「産地制度」が進められ、モノカルチャー化してきている。単一商品の大量生産、大量消費。
「生物の多様性」、環境バランスに逆行している。多様性を認めない。

2. 精神性(人間らしさ)の放棄・・・物質主義・拝金主義に陥っている。
  野菜は生き物である、肥料や農薬だけでは本当においしい野菜は作れない。

日本一のコメ農家、カリスマ有機農家、奇跡のリンゴを育てた人、みんな野菜や樹木に語りかけ、自然からの声に耳を傾けている人たちだ。
自然と仲良く暮らすことが、実は最先端の農業なのである。

3.  機械化の問題 過度の機械化による環境破壊
  人から仕事が奪われていく(特に障害者のできる仕事がなくなっていく)
  重機を入れると、土壌が圧縮されて環境が悪くなる。

4.  生命の破壊行為
  自然の土によって育てるのではなく、化学肥料と農薬によって育てている。
  生命が抹殺(殺菌)された環境で、人工的に育てる方向に進んでいる。
  本来、野菜は緑あふれる生命豊かな環境で、健康に育つものである。

5.  F1種(一代交配種=ハイブリッド))の問題
  「雑種強勢」という遺伝上の特性を利用して、交配した一代目の種子のみを販売する。
  1代目は、両親の優性形質のみが遺伝され、形状の立派な野菜ができる。

F1種の製造方法に問題・・・「雄性不稔」の株を利用している。人間で言うインポや無精子症のような、雄べのない奇形、生殖能力のない母株を増やし、そこに目的とする雄しべの花粉をつける。
現在日本で販売されている野菜の9割以上が、F1種子を利用している。(形がそろって大量に収穫でき、病気にも強いというメリットがあるからだ)
戦後から現代にいたるまでの間に、日本人の精子の量は半減し、その活動は虚弱なものとなっている。(少子化・虚弱化・女性化の原因とも言われている)

  

  障害の原因

近年の、発達障害のあきらかなる増加、アレルギー体質、鬱やキレやすい精神的な不安定さなど
その原因として考えられることは・・・(以下、仮説ですが)
環境汚染の問題、重金属、農薬や化学物質の使用、食物の汚染、遺伝子の操作やミトコンドリアの異常などが影響していると多くの人が進言している。

今はまだ因果関係に関する科学的な証明は不十分だが、その可能性を否定する証明も同じくでていない。証明さていないのだから、経済活動に都合のいいことは変わらず行われている。

しかし、障害を引き起こす危険性のあることを、あえて公益性を重視する福祉施設が率先して行う必要はないであろう。やるならば人にも自然環境にもいい、健康な野菜作りを目指すべきではないでしょうか。そして「食の安全」と「いのちの大切さ」を子供たちに伝えてゆきましょう。

  私たちの活動の三つの輪

◎  テーマは『自然の中の福祉農園』

福祉(生きる喜び)と生産(安全な野菜作り・自然農)と環境(自然に親しむ・自然保護)の三つを融合した活動を進めてゆく。

自然を生かし、人を生かし、自分も生きる道。

2011/6/5


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