@ お金のかからない農業、「豊かな貧しさ」を心掛ける。
- 田舎暮らしは貧しくても、自然の中で心豊かに、人間らしく生きてゆける。
- 人間も自然の一部、生命あふれる自然豊かな場所では、人間も生き生きとしてくる。
- (コンクリートの中の生き物が、元気でいられるはずがない)
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- 基本的に、農業は機械化し、よほど大規模で集約的に行ない、流通を工夫しない限り儲からない。
- 特に露地栽培ならば、儲けることよりも、お金のかからない自然になじむ農業を目指した方がいい。
- 野菜は工業生産物とは違い、限られた土地では収穫量や値段に限界がある。
- 設備投資や人件費、種や肥料、資材になるべくお金をかけないほうがいい。
A 大型農耕機械を使わない。(小力生産)
機械化は人から仕事を奪ってゆくし、「手作り野菜」のメリットが出せなくなる。
障害のある方に、エンジン機械の操作は危険をともなうことがある。
自然の力・生命力を発揮すれば、無理に耕さなくても、わずかな手入れで作物が育つ。
(不耕起栽培に機械はいらない。小力とわずかな道具でまかなえる。)
B 自然に親しみ、生き物を育てることにより、人間性と優しい心が育まれる。
緑あふれる恵まれた自然環境の中で活動ができ、自然によって人間も育まれる。
生き物(野菜)は、愛情を注ぎ、手をかければ必ずそれに応えくれる。
C 自分たちで考えて作り上げてゆく『手作り農園』
指示されて機械的に動く、単純作業ではない。
畑や野菜を観察しながら、何をしたらいいかを自分たちで考えて行動する。
自然にはマニュアルはなく、自然によりそい自然の営みに合わせて活動してゆく。
比較的自由な環境の中で、自分で考え、主体的に取り組む。(自由と自己責任)
創造する楽しみがある。アイデアと実行力しだいでどんどん活動が広がる。
D 「チーム制」を取り入れ、協力して作業を行う。(共同作業)
一人でできなくてもチームで動けばできることが多い。
助け合い、補い合い、教え合う、良好な対人関係を築き、共に成長してゆく。(社会性を身につける)
チーム内での話し合いの場を大切にする。
少数スタッフで、チームごとに管理し、自主性を重んじる。
一人ひとり得意分野で役割を分担する「一人一役」。
自分の強みを生かし、チームに貢献する。
E 古民家付き農園
活動の拠点として、古民家や作業小屋がほしい。
季節や天候に左右されず活動ができるし、休憩場所として体調の管理もできる。
デンマークの「コロニヘーヴ」のように、人々の交流拠点(コミュニティ)にもなる。
民家の中で野菜の調理・加工やクラフトの作成など、活動の幅が広がる。
週末の余暇活動にも使える。デイサービスもできる。
宿泊設備も整えたなら、将来はグループホームとしても使える。
古民家を中心にいくつかの活動拠点(農園)を繋ぎ合せ、数チームで巡回しながら運営すれば、小規模な農地でも施設の役割をはたすことができる。
F 半自給型農業
完全な自給はむずかしいけど、半分くらい自給ということで、後は販売も行い、お手当や障害者年金で補充する。(お手当も半分くらい現物ならば、運営が楽になる)
自分が作ったものを食べるとなると、働く意味や食べ物のありがたみがわかるようになる。
小羽数の「平飼い養鶏」が実践できれば、自然卵の販売により日銭が得られるとともに、鶏糞によって肥料をまかなうこともできる。循環型の農業が実現できる。
G 多品種栽培
土壌成分の偏りをなくすため多品種を輪作する。(連作障害を避ける)
一年を通して切れ目なく、多彩なサービスを利用者さんへ提供するために、多品種を扱うことが望ましい。収穫した作物を利用して、様々な季節のイベントを開催できる。
単一栽培で偏った単調な作業をさせるよりも、利用者さんへのサービス提供(日中活動)を考えると、バラエティーに富んだ活動内容、多様な作業体験を準備してあげた方がいい。
H なるべく自然に近い形で野菜を育ててゆく。『自然農』をとりいれる。
生態系を重視し、自然の力・生命力を生かした農法をもちいる。
『自然農』は、福祉の考え方に近い農法である。
ありのままの姿から、本来の良さを引き出してゆく。
「あらゆるものは、自然の生態系の中でつながりあって生きている。」
生態系を大切にし、その中でのエネルギーや養分循環により持続的に生産してゆける農業を目指す。
自然界に無駄なものはない、全てが繋がりあい、みんなで一つなんだというものの見方・考え方が、おなじように福祉にも言えることである。
自然の営みを排除し、農薬・化学肥料にたより、人工的な品種改良や遺伝子操作を繰り返す現代の農業。合理化や機械化、大型化や収益性など人間のみに都合のいいことを考えていてはいけない。驕ることなく、自然に学び、本当の人間らしさを追求し、共に生きることを目指してゆく方がいいのではないでしょうか。
生態系とは、生き物のどうしの「つながり」であり、自然の中における支え合いのシステムである。(生命の集合体)
I 季節感があり、「晴耕雨読」を実践。変化とメリハリのある生活をおくる。
旬を大切にし、季節による作物の成長、自然の流れに合わせたスケジュールを組む。
季節のイベント(行事)・ハイキングや自然観察会などをおこなう。
雨の日は、ハウスで苗づくり、勉強会、クラフト作業、調理・加工などを行う。
機械的な生活、単純作業、画一化、マンネリ化などから解放される。(アイデア・創造力が必要)
季節や地域に合わないものを作ろうとすると、設備や資材にお金がかかることになるし、本当においしい健康野菜は作れない。
J 地域の伝統を生かす農業
地域との繋がりを大切にする。
「地域ブランド」を確立し、地域の活性化に貢献する。
自家採種を行いながら、地域の「伝統野菜」を育てていく。
大阪には、勝間南京、毛馬胡瓜、田辺大根、天王寺蕪など、『なにわの伝統野菜』がある。
K 自家採種をおこなう
F1=交配種のタネを使わずに、固定種の「伝統野菜」を栽培し、自家採種する。
自家採種を3年続けると、その土地に馴化し、立派な健康野菜を収穫できる。
品種改良にともなう「雄性不稔」の問題や、遺伝子組み換えの心配もない。
2011.5.5
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