「ミミズ君のしあわせ」.
● 偉大なミミズ君
ミミズ君は、なぜミミズと言うのでしょう?
皆さん大きな声で「目見えず」と10回言ってみましょう。・・・・ミミズになりましたね。
本当か嘘かは知りませんが、そういう説もあるのです。
ミミズは目が見えません。耳も聞えません。言葉もしゃべれません。脳みそもあるのかないのかわかりませんので、知的にもかなり重度でしょう。療育手帳はトリプルAかもしれません。手足がないので、這って歩くしかありません。立つことも座ることもできません。一日中、土を食べて、ウンコをしています。ミミズは、いわば障害者の代表選手(シンボル)のようなものです。
しかし、「進化論」を説いたダーウィンは言います。
「ミミズの糞土ほど優れた腐植はありえない」と。ダーウィンは進化論で有名ですが、実は彼は40年間ミミズの研究を続け、それをライフワークとしていたミミズ博士なのです。
「・・・人間が耕すよりも前からミミズによって土は掘り返されてきたのだ。このちっぽけな生き物が、世界の中でどんな生き物よりも重要な役割を果たしていると言うことは間違いない。」と賞賛しています。
ミミズはただひたすらに、土とともに落葉や残渣を食べウンコをします。その量は1日に、自分の体重の1.5倍くらい。1反(1000u)に1万匹のミミズがいるとしたら、そのフンの量は年間3トン近くになります。ミミズ堆肥は肥料効果が高く「黄金の土」と言われています。
(これだけあれば、ホームセンターで肥料を買う必要な無くなりますね。)
その上、ミミズは食事の前に手も洗わないので(もともと手がない)、お腹の中は菌(微生物)だらけ、食べたものに菌をまぶしてウンコを出します。その菌と酵素の働きによって粘り気のある団粒構造を形成し、通気性と保水力の両立するフカフカの土が誕生します。
保水力が向上すれば水やりの量が半減します。(水不足に悩んだり、水やりの手間が省けます)
「不耕起栽培」と「草マルチ」を併用し、ミミズや微生物の環境を整えると効果は抜群です。
ミミズが土を作り、草木を育て、その草木を食べて、動物や人間は生きています。いわば、人間はミミズによって生かされているのです。
事実、共産国キューバは、ソビエト連邦崩壊の後、保護してもらえる国を失い、大部分の食物の輸入が途絶えました。国民は餓死寸前です。自給するしかすべがなかった彼らは、国を挙げて有機栽培に取り組みました。国家規模の壮大な実験だと言われました。有機栽培において彼らが全面的に取り入れたのが、ミミズによる堆肥づくりです。それは、見事に成果を上げ、40%程度だった食糧自給率は100%近くになり、有機野菜で自給自足する国になりました。
ミミズは偉大だと思います。
でも、当のミミズ君はそんな難しいことを考えながらウンコをしていたでしょうか? いいえ、世界を救おうという意識もありませんでした。
● ミミズ君の幸せ
ミミズ君はただ、ミミズとしてミミズらしく生きていたのです。
(人間が、人間らしく生きることが大切であるように・・)
自然界の生命のつながりの中で、自身の役割をはたしていたにすぎません。
ここで重要なのは、生態系(生命の輪)の中で繋がり合っていたということです。
大きな生命(一つの命、地球の生命)の中で生かされていた。その命の懐の中で、ミミズ君は幸せだったに違いない。私はそう思います。
(コンクリートの下敷きになっているミミズや閉ざされたプランターの中にいるミミズは、ちょっと気の毒な存在かもしれません。)
● 生きているミミズの命
やがて、生命は循環し、すべての生命の中にミミズの命は組み込まれていくのです。あなたの中にも、ミミズ君は生きているかもしれません。
事実、生きています。人間の細胞は60兆個、しかし体内に棲む微生物の数は100兆を超えるとも言われます。人間は生命の集合体なのです。その中にミミズのエキスや情報が含まれていたり、ミミズと共生していた微生物が人間の体内に引っ越ししていたりするかもしれません。
人間は葉緑素がないので光合成できません。ですから自分の体を生成する食べ物はすべて植物に依存しています。その植物は土と水と太陽の光に依存しているのです。その土を作る上で重要な役割を果たすのがミミズです。ミミズは生態系の基盤となる土壌を育んでいるのです。
物質的に見てもそうだし、精神的に見ても、ミミズの心(?)は私とつながっているかもしれません。ミミズは友だちであり仲間です。
生命のつながり、心のつながりを感じます。(ミミズ愛ですね・・・)
ミミズ君は、このようにして、人からも自然界からも愛され、必要とされて、しあわせな一生を過ごすのです。これがミミズ君の幸せです。
無理をすることはありません。ありのままの姿で、自分らしく生きればいいのです。
● ミミズ君に学んだこと
みなさん、ミミズ君から学ぶことがありましたか?
人間には、人間にしかない「愛情」や「おもいやり」があります。人の痛みを感じ、助け合う力があります。夢を持って前に進もうとする力があります。
障害のある人も、生まれて来た以上何か意味がありますから、きっと、みんなと一つになり幸せに生きる道があるでしょう。(ミミズ君にもできるのですから・・・)
人間らしく生きることにより、みんなで繋がり合って、みんなで幸せになりましょう。
2017.10.14 俊邦父
2017.6.24 金剛山「細尾谷」で見つけた、虹色のジャンボミミズ君
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