多様性の新しいバランス

「人生」という時計の針を巻き戻すことはできない。歴史もそう。
昔は良かった、そう思っても完全に昔の状態に戻ることはできない。(やり直しはできない)
時は過ぎ去っている。今ある環境、今ある自分たちを受け入れざるを得ないこともある。
教訓を得ることはできても、昔と同じではない。
新しい自分と未来を見つめなくてはいけない。

「多様性」が大切だと知ったなら、これからの生き方の中で多様性を尊重し、共生して、新しいバランスを見出さなくてはいけない。(それは必ずしも昔と同じではないこともある)
私たちは前を向き、前に進まなくてはいけない。

障害のある子供を受け止め、「多様性」を大切にしながら、新しいバランスを探し出さなくてはいけない。完全ではなくても(治らなくても)、善しとする世界(棲家)を見つけ出さなくてはいけない。それが、この子たちの幸せにつながるのだと思う。

元々あった自然ではなくても、新しい自然を生みださなくてはいけない。
健康についてもそうである。

何を言わんとしているか、ご理解いただけるでしょうか?

○ 新しいバランス(New Balance

人々は過ちを犯した。
自然を破壊し、争い、自ら自身をも破壊した。

確かに、人間は失敗し、本然(オリジナル)の理想の姿からは外れたかもしれない。
気付いた時には手遅れで、悔やむことも多い。
しかし、いつまでも後ろ向きであってはならない。あるものは受け止め、前に進むしかない。
変だから、おかしいから、間違っているからと言っても、生きているものを切り捨てるわけにはいかない。治せるところは治して。難しければ、それでも前に進まなくてはならない。

「多様性の新しいバランス」を見出さなくてはならない。それが、我々の仕事であり、本当の愛の行くべき道である。新しい価値観を見つけ出すということでもある。
結果、完全な理想の世界(天国)は生まれないかもしれないが、それでも生きていける場所を作りたい。
誰であっても、平安で喜びのある、愛で一つになれるところにしたい。

人々は目覚め、多様性を尊重し、生き物とその繋がり(生態系)を大切にし、共に生きていく道を開く。
争い(戦争)や残虐さは捨てて、寛容で、みんなの生きる道を考えるのである。
今からでも、きっと新しいバランスの取れた世界を見出すことはできるはずだ。

次に、身近なところ、まずは「食」について考えてみよう

○ 食の多様性を高めよう

「食の多様性」を高める。(今までのことはもう仕方がない)
自然のものを食べる。なるべく多品種のものを食べる。自然を取り込んでゆく。
人間らしい生活。すなわち、土に触れる生活をする。自然と共生する生活が一番いい。

健康な野菜を育てる為には、「土」を良くしなくてはいけない。
土を良くするためには、土の中をかき乱すことなく(不耕起栽培で)、多品種の植物を育てる(単一栽培は良くない)。豊かな根系が豊かな微生物を育む。土の中の多様性が高まる中で、本来の自然の力が発揮されてゆく。
自然の種から(固定種の種)、雑草を含む多彩な植生によって土は育まれる。
生命力の増大、適応力、連携する力、共生し循環する力。
自然は、時間と共に育まれる。長期で見てゆけば必ず、見違えるように環境は生まれ変わってゆく。

人間にも同じことが言える。
健康な人が育つには、腸内環境を良くしないといけない。
食の多様性は、腸内環境(腸内細菌)の多様性につながる。偏食は良くない、何でも食べよう。自然のものを食べよう。自然の中で育った多種類の野菜をモリモリ食べよう。
自然を体内に取り込んでゆくことによって、多様性に満ちた豊かな腸内環境が整ってゆく。

腸内細菌の多様性も高まり。豊かな生命力と適応能力により、自然の力が発揮されてゆく。共生する人間の体(連携する人の細胞や器官)も本来の力を発揮するようになる。生き物たちの力が、人の成長を助ける。生きる力を与える。
多様性と共生と循環により、人の健康は保たれる。

食事を変えたからと言ってすぐには結果が出ないかもしれないが、
「食の多様性」が高まり、自然に近づいて行けば、将来、必ず大きな変化(環境改善)が訪れる。
時間と共に、自然は回復してゆく。自然には再生能力がある。
何もしなかった10年よりも、自然に帰る努力をした10年の方が、違った結果をもたらすだろう。

人の体も自然の一部。あせらずに、自然とともに、「時間」を味方につけて、ゆっくりと目覚めてゆこう。そして、本来の自然のバランス(健康)を取り戻してゆこう。

○ 人は自然

行きつくところは皆同じ。より大きな自然の中に帰ってゆく。そして一つになる。
「愛」のもとに一つになる。そこには、差別も偏見も格差も障害もない。もともと同じところから出発している。
愛から始まり、愛に終わる。

全ての生き物は、自己を捧げきって自然に帰る。(死んで生きる)
そこには、何の見栄も、打算も、虚栄も、恐怖もない。あたりまえのこととして受け止め、委ねている。
人も、人間らしく生きる為には、自分(持てる力や才能、能力)を出し切って、捧げきって自然に帰るのが一番潔くて、カッコいい。

あえて言うならば、自然の中にいること(自然に属すること)が、私にとっての宗教である。

「人間は自然の一部である」とレーチェルカーソンは言う。
これは、言い方を変えると、人間は自然に属する、「自然」なんだということ。
もともと人間は「自然」なのだから、「自然」であるべきだ。

あまりにも、人は自然から遠ざかり、自然と分断し、多様性を失い、不自然な状態にあって、健康被害や環境問題を引き起こしているのだから、これからは自然に帰りましょうよ、という話です。

多様性を取り戻し、自然と共生して、生態系の循環の中で、自然に溶け込み再生して、バランスを取り戻して、調和の世界を築いていく。

人は自然。人間らしく生きるとは、「自然」に生きるということ。
それは多様性を尊重し、つながり合って、調和し、共に生きていくということ。
自然はそれを教えてくれる。

草花や蜂や蝶、木々や小鳥たち、動物や海を泳ぐ魚たち、土の中のミクロの生命たちも、みんな繋がっている。助け合って生きている。みんながいるから生かされている。
そして、自然の中心にあるものは「愛」だということ。だから一つになりえる、調和することができる。
人も一番の素晴らしい生き方は、愛に生きるということなのだ。

私は、何もできないかもしれないが、このような思いをいだきながら生きている。

2023.2.17

【追記】

ジェンダーの問題も、人種や宗教の問題も、障害についても、他者を朗らかに受け止め、新しいバランスの取れた世界を築いて行こう。

何もかもが昔のまま、元どおりというわけにはいかない。時代は変わっていく。生きる人も変わっていく。新しく生み出されたものに目を向け、新しいバランスを築かなくてはいけない。
ただ、本質的には変わっていない。人は愛に生きる。
私たちは調和し、愛に生き、喜びと平和の中に生きることを目指そう。

人は愛に生き、平和に生きる~♪

年寄りはくどい。同じことを何回も言う。(あの歌のように)
私も還暦を過ぎて、年寄りの仲間入りだ。同じことを何度でも言う、繰り返す。
どんどん単純になっていく。
「花鳥風月」を愛でる年になってきたのかもしれない。
みんな、この歌を憶えているかな・・・

「愛に生き平和に生きる」
1970.1.1

作詞/岩谷 時子
作曲/いずみたく

人は愛に生き 平和に生きる
一人の幸せは みんなの幸せ
※夢は大切に こころとこころが
かたく結ばれた 地球に住もうよ

人は愛のため 平和を祈る
ひとりの悲しみは みんなの悲しみ
夢は大切に あなたとわたしの
こころかよいあう 地球をつくろう
※(くりかえし2回)

地球に住もうよ

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昔、ベトナム戦争で人の心が荒んでいた時、ピンキーとキラーズ(今陽子)がこの歌を歌っていた。
焼夷弾やナパーム弾が投下され、枯葉剤がばらまかれた。障害児(奇形児)が生まれた。

ウクライナで戦争が起こり、
地球温暖化で様々な自然災害が起こり、化学物質で健康を害し、核の脅威にさらされている。
貧困と格差社会で未来に希望がもてない。

そんな今の時代に、歌いたい一曲である。